Looking On 作成:2001年9月12日 /  更新:2021年6月16日

[Side 1]
1. Looking On
2. Turkish Tram Conductor Blues
3. What?
4. When Alice Comes Back To The Farm
[Side 2]
5. Open Up Said The World At The Door
6. Brontosaurus
7. Feel Too Good
Release : 11 December 1970 / イギ リス盤LP : Fly Records FLY-1アメリカ盤LP : Capitol Records ST-658
⚫️ Roy Wood (Vocals,Oboe,sitar,slide guitar,'cello,guitar,bass & all saxes)
⚫️ Jeff Lynne (Vocals,Piano,guitar,percussion & drums on "Feel Too Good")
⚫️ Bev Bevan (Drums,chorus & percussion)
⚫️ RickPrice (bass,vocals)
Produced by Roy Wood & Jeff Lynne for Onward Music Ltd.
except "Brontosaurus" & "Lightnin' Never Strikes Twice" produced by Roy Wood for Onward Music Ltd.
Various percussive implements : (The famous) Upsy
Refreshments : Phil Copestake
Recorded at Philips Studios,except "Brontosaurus" recorded at Advision Studios
Engineer : Roger Wake / Assistant engineers : Ralph Copeman,Geoff Goldberg,Keith Whing
Original album Design : Graphreaks (Danny Halperin & Bob Fell)
Fly logo design : Roger Dean

[1 : The Move : 1970]

● 2月28日 : Carl Wayne脱退に伴い、The Idle RaceからJeff Lynneが加入。第四期スタート。
● 3月6日 : 8枚目のシングルBrontosaurus発売。全英第 7位。
● 9月 : EMI傘下のレーベル・Harvestと契約。
● 10月9日 : 9枚目のシングルWhen Alice Comes Back To The Farm」発売。
● 12月11日 : 4作目のアルバム『Looking On』発 売。
● 3月6日 : 8枚目のシングルBrontosaurus発売。全英第 7位。


 The Idle Race(※2)からJeff Lynneを引き抜きスタートした第四期The Moveは、シングルBrontosaurusをヒットさせ、5月〜9月にかけアルバム制作に着手。10 月に新 設レーベル・Fly RecordsからシングルWhen Alice Comes Back To The Farm」、12月11日に本作『Looking On』を 発表します。

(サウンドはヘヴィに)

 3作目にして アルバム 全曲オリジナルとなり、サウンドは1970 年の音楽シーンを反映するかのように、同時代的なHard RockやBlues Rock色が強く(Led Zeppelinはもとより、同郷バーミンガムからBlack Sabbathが登場した時期でした)、Progressive Rock風な曲展開やオールド・ジャズ風味もあったり

 しかしThe Moveを順に追って聴いた方、逆に70年代後半のELOサウンドに魅せられて本作まで遡って来た 両者にとって、本作のヘヴィなサウンドにギャップを感じる方も少なくないようです(個人的には、聴 けるようになれば細かい事は段々気にしなくなるので…(笑)。10代の頃よりは聴く回数は多いです)。それでもRoy WoodとJeff Lynneの対照的なソングライティングやマルチプレイヤー振り、リズム隊のパワフルなプレイなど、注目点も多い。

 『Looking On』の発売時の周囲の反応は、現在でもよく判らないのが正直なところで(日本盤 LPの話も一度も耳にした事がなく、CD化されるまで存在を知られなかったのでは…と、曖昧な記述だらけで申し訳ありませんが…)。前作『Shazam』もメンバー脱退直後という微妙なタイミングで、『Looking On』FLYレーベル第1弾アルバムだったにもかかわらず、発売直前にバンドの移 籍が決まっていたため、積極的なプロモーションがされなかった可能性も。

(その後のThe Move)

 本作発表直前 の1970年10月、EMI傘下のHARVESTレーベルに移籍。同時に新たなプロジェクトを始動 させますが、Rick Priceは難色を示し、 ポップ色の強いソロ・アル バム『Talking To The Flowers』(1971年1月)を発表してバンドを脱退。一度は彼らと離れるもの の、1973年、Roy Woodと再び合流・・・ということで、次回『Message From The Country』へつづく。

[注釈]
※1 : Carl Wayne
 カール・ウェイン は脱退後、複数のバンドからの誘いを断 り、Tom JonesEngelbert Humperdinck的なスタイルのソロ歌手に転身
唯一のオリジナル・アル バム『Carl Wayne』 (1972年)やシングル「Imagine」(John Lennonのあの曲)を発表。その後Heads Hands & Feet(1972年→お蔵入り)やELO(1973年2月→2003年に『ELO2』 のリイシュー盤で3曲が発掘)とのセッションを経て、散発的にシングルを発表しながらライヴやテレビ等で活躍。

 2000年にはThe Holliesに
アラン・クラークの後任として参加。ベスト盤『Greatest Hits』(2003年)では新曲「How Do I Survive」をレコーディング、ライヴでは The Moveのヒット曲も歌ったりと健在振りを示 しましたが、2004年8月31日に病気のため惜しくも他界。Et CeteraのゲストとしてThe MoveやThe Holliesのリメイクを歌ったものが生前 最期のレコーディングに(各種デジタル配信版等で入手可能)。2006年にはELOのカヴァーやRoy Woodとの共演を含む編集盤『Songs From The Wood And Beyond 1973-2003』がリリースされています(他に調べてみると、『違いがわかる男の CMソング NESCAFE CM Song Collection』というCDの14曲目「テイスト・ザ・ラヴ」にカール・ウェインの名前が。ネスカフェのCMソングを歌っていたと は…)。

※2 : The Idle Race
 よく知られるエピソードで、1965年末にMike Sheridan & The Nightriders(または
Mike Sheridan's Lot)からRoy WoodとリーダーのMike Sheridanが脱退→残ったメンバーにJeff Lynneが加わり結成されたのがThe Idle Raceでした。中期ビートルズ直系の実験的なポップ・サウンド、同郷バーミ ンガム出身、 Roy Woodからの曲提供など、The Moveとは何かと接点のあるバンドでした

🔵 The Idle Race "Days of the Broken Arrows"(1969年)
CD
1 : ルッキング・オン
1990 年/(日本盤)テイチク TECP-25272

[主 な特徴]
● 世界初CD化(当時)
● ブックレット : 日本語解説書・歌詞付(対訳は無し)
 1990年に日本のテイチク が世界に先駆け初CD化。当時の定価は税込2,500円。なお『Looking On』は2008年までオリジナル・マスターが所 在不明だったようで、「Brontosaurus」以外の曲はノイズが目立つのが難点。
2 : LOOKING ON
1993年/(ドイツ盤)Repertoire REP 4281-WY

[主 な特徴]
● 1993年リマスター(※1〜5,7はレコード盤から起こされたもの)
● ジャケット : ドイツ盤のデザインを使用
● ブックレット : 英文ライナー/ディスコグラフィ

Bonus Tracks :
8. Blackberry Way
9. Something (Mono Single Version)
10. Curly (Single Version)
11. This Time Tomorrow
12. Lightning Never Strikes Twice

 1993年、ドイツのリイシューレーベル・ Repertoireから発売されたCD。ジャケット・デザイ ンが異なり、メンバーの写真が使われています。

 当時はマスター・テープが所在不明だったようで、Original Album部分(1〜5,7)はノイズ除去が強めにかけられています。ボーナス・トラックとしてシングルから5曲を収録。

3 : LOOKING ON 1996年/(輸入国内盤仕様)MSI MSIF-7429

[主 な特徴]
● 上記1993年Repertoire盤CDに、帯・日本語解説書を付属した"輸入国内盤仕様"。
● 歌詞 : あり(ただし対訳は無し)
 1996年に日本のMSIが、上記ドイツRepertoire盤に帯・日本語解説書・歌詞を付けて発売。
4 : MOVEMENTS (30th Anniversary Anthology) 1997年/(イギリス盤)Westside WESX 302

[主 な特徴]
● イギリス編集・CD3枚組BOX SET
● 1966〜1970年までの音源を収録
● 別ヴァージョン/初登場未発表音源収録
● Disc 2-5〜10 : 『Shazam』
 念のためご紹介という事で。1997年発表の3枚組ボックス・セット。1966年〜1970年にかけて発表されたシン グル曲/アルバム/EP音源をまとめたもので(後期Harvest時代は未収録)、Disc 3に『Looking On』から全曲収録。

5 : LOOKING ON 1998年/(ドイツ盤) Repertoire REP 4692-WY

[主 な特徴]
● 音源 : 1998年リマスター
● ブックレット : 英文ライナー

Bonus Tracks :
8. Wild Tiger Woman (Mono Single Version)
9. Omnibus (Mono Single Version)
10. Blackberry Way
11. Something (Mono Single Version)
12. Curly (Single Version)
13. This Time Tomorrow
14. Lightnin' Never Strikes Twice
15. Something (Italian Version)
16. Wild Tiger Woman Blues (Early Undubbed Version)
17. Curly Where's Your Girlie (Early Alternative Version)
 1998年にドイツのRepertoire から発売されたリマスター盤。Original Album部分(1〜7)はノイズ・リダクションが施されています。

ジャケット :
 
ジャケットはブックレットに2種類掲載され、内側には英文ライ ナーを掲載(何故かカール・ウェイン在籍時の写真を使用)。

ボーナス・トラック :
 8〜14は
1968年〜1970年に発表されたシングルより。14以外はモノラル。15〜17は3枚組BOX『Movements』(1997年)で発掘された未発表音源より(16,17は完成前のワーキング・タイトルで表記)。
6 : ルッキング・オン 1999年/(輸入国内盤仕様)Vivid Sound VFCD-2624

[主 な特徴]
● 上記1998年Repertoire盤CDに、帯・日本語解説書を付属した"輸入国内盤仕様"。
● ブックレット : 解説 (加藤ひさし/小松崎健郎)/歌 詞(対訳は無し)
 1999年11月15日発売。上記1998年ドイツRepertoire盤CDに帯(オレンジ+白)、日本語ブックレッ トを追加した"輸入国内盤仕様"。ブックレットにはライナー・ノーツ/「ザ・ムーヴ・ヒストリー PART 3(1970.2-1972.7)/作品紹介等を掲載。
7 : ルッキング・オン+10 2001年/(日本盤)ビクター・エンタテインメント VICP-61315

[主 な特徴]
● LPデザインをミニチュア化した"紙ジャケット"仕様
● ビクター独自の"20bit KS スーパー・コーティング"リマスター音源
● 収録曲は1998年Repertoire盤と同一
● 解説書・歌詞・対訳付(※ボーナス・トラックの対訳は未掲載)

Bonus Tracks :
8. Wild Tiger Woman (Mono Single Version)
9. Omnibus (Mono Single Version)
10. Blackberry Way
11. Something (Mono Single Version)
12. Curly (Single Version)
13. This Time Tomorrow
14. Lightnin' Never Strikes Twice
15. Something (Italian Version)
16. Wild Tiger Woman Blues (Early Undubbed Version)
17. Curly Where's Your Girlie (Early Alternative Version)
 2001年2月7日発売の日本盤。内容は1998年 Repertoire盤と同一で、"20bit K2 Mastering"という独自のマスタリングが施されています。

 パッケージは"紙ジャケット仕様"で、FLYレーベル再発盤を基に再現。ブックレットは解説、歌詞・対訳が掲載されていますが、惜しくもボーナス・ト ラック分は未掲載。
8 : Looking On (2008 Deluxe Expanded Edition) 2008年/(イギリス盤)Salvo SALVODCD-014

[主 な特徴]
● 音源 : 2008年リマスター
● Bonus Track : 初登場音源6曲収録
● パッケージ : Paper Sleeve仕様 (※LPデザインとは異なるダブル・ジャケット)/表ジャケットのバンド表記が左に移動

Bonus Tracks :
8. Lightnin' Never Strikes Twice (Single B-Side)
9. Looking On Part 1 (take 3;rough mix)
10. Looking On Part 2 (take 12;rough mix)
11. Turkish Tram Conductor Blues (take 5;rough mix)
12. Open Up Said The World At The Door (take 4;rough mix)
13. Feel Too Good (take 11 extract;rough mix)
14. The Duke Of Edinburgh's Lettuce (take 2;rough mix)
 2008年4月、イギリ スSalvo(Union Square Music内のレーベル)から発売された"Deluxe Expanded Edition"。
パッケージ : 左側でも触れましたが、紙製のジャケットは、大元のLPジャケットをCDサイズに縮小 した(通称)"紙ジャケ"とは似て非なる別物で、3面開きで内側にCDやブックレットを収納するポケットがあります。なお画像左の右下の文字は、新品未開 封時に貼られていたステッカー。
ブックレッ ト : 英文ライナー、写真等を掲載("Special thanks"欄には日本の音楽雑誌『ストレンジ・デイズ』のスタッフの名前も)。
CD : エンハンスド仕様。発売時 はCDをパソコンにセットすると、そこからSalvoの特設サイトにアクセスする事が出来ましたが、現在は権利関係の移行により閉鎖されています (代わりにSalvoのサイトに切り替わる)。
音源 : 初めてオリジナル・マスター・テープからのリマスターが実現。

ボーナス・トラック : 9〜 14は発掘されたマルチトラック・テープから新規作成 (註 : 下記の収録曲"各種ヴァージョン/ミックス/テイク"で詳しく触れます)。一部、後発の2016年Deluxe Editionには未収録 or 別編集が含まれており、音源を揃えたい方は注意が必要です。
9 : Looking On (2008 Deluxe Expanded Edition) 2009年/(輸入国内盤仕様)MSI MSIG-0626

[主 な特徴]
● 2007年イギリスSalvo盤CDに帯・日本語解説書 を付属した"輸入国内盤仕様"。
 2009年12月、上記 イギリスSalvo盤"Deluxe Expanded Edition"に日本語解説書を付けたものが発売されています。
10 : Looking On (2016 Deluxe Edition) 2016年/(イギリス盤)Esoteric Records ECLEC-2537

[主 な特徴]
● CD2枚組デラックス・エディション
● 音源 : 2016年リマスター
● BBCラジオ音源を収録(※全曲未発表)
● パッケージ : 紙製のデジパック仕様(LPのデザインをミニチュア化した"紙ジャケ"とは別物)
● 新聞記事の切り抜きを掲載したミニ・ポスター、写真・英文ライナー掲載のブックレット付き
 2016年5月27日に Esoteric Recordingsから発売された2枚組デラックス・エディション。

ジャケットの仕様 :
 デジパック仕様で、見開きの内側にCDのトレーが付けられています。

ブックレット :
 ライナーは
2008年SALVO盤CDをアップデートしたものですが、写真は別のものを使用。 1970年当時の記事のスクラップなどが掲載されています。

注意点 :
 2008年SALVO盤CDボーナス・トラックから2曲が未収録「Looking On」のrough mixが別編集になっているため、音源を全て揃えたい方は要注意。
[2016 年盤未収録の主な音源]
⚪️「Looking On Part 1 (take 3;rough mix)」「Part 2 (take 12;rough mix)」(未編集版)
⚪️「Open Up Said The World At The Door (take 4;rough mix)
⚪️「Brontosaurus (US promo edit/Stereo Mix)
⚪️「Feel Too Good (take 11 extract;rough mix)
⚪️「Feel Too Good (Radio Edit)

この盤についてはこちらでもご紹介しています。
https://benice.blog.fc2.com/blog-entry-1852.html
11 : Looking On (2016 Deluxe Edition) 2016年7月13日/(輸入国内盤仕様)Atoz ATOZ-102

[主 な特徴]
● 上記イギリスEsoteric盤に日本語解説書を付けた"輸入国内盤仕様"
 2016年7月13日発売。Estoric Recordings盤に帯・日本語解説書をつけたもの。
配信版
● 2008年リマスター音源/● ボーナス・トラック : 無し

iTunes/Apple Music ◉ Amazon MP3
収録曲
1. Looking On Roy Wood
 アルバム・タイトルにもなったRoy Woodの作品。2部構成で、前半はツイン・リード・ギターが目立つHard Rock調のサウンドで、Jeff Lynneがクラシカルなピアノを加える。後半(4分18秒付近)ではジャジーなイ ンストゥルメンタル・パートになり、エレクトリック・シタール→ ヴォリューム奏法のギターバグパイブらしき複数 の管楽器→ワウペダルを使ったギター・・・と、ソロが続く(恐らくほぼRoy Woodのオーヴァー・ダビングと思われる)

[各 種ヴァージョン/ミックス/テイク]

1 : Album Version

 一般流通しているアルバム・ヴァージョン。

2 : Take 3;Rough Mix
3 :
Take 12;Rough Mix

 セッ ション音源から新たに作成されたもの。前後のパートは2分割され、冒頭にエンジニアのアナウンスが挿入されています。ドラムはADT処理がされていないた め、こちらの方がナチュラルな印象。
(収録CD)
『Looking On (Deluxe Expanded Edition)』
(CD:(イギリス) Salvo/Fly Records SALVOCD-014/2008年)

4 : Part One-Take 3 / Part Two-Take 12

 2,3 と同じRough Mixですが、演奏が一旦停止しPart Twoへと替わる箇所がカットされ、編集で繋げられています。
(収録CD)
『Looking On (2016 Deluxe Edition)』
(CD:(イギリス) Esoteric Records ECLEC 22547/2016年)

2. Turkish Tram Conductor Blues Roy Wood

 Roy Woodの作品()&リード・ヴォーカル。ギターが目立つHard Rock調で、ダブルトラックのサックスを加えて厚みを付けています。間奏ではアコースティック・ギター(Dobro?)や、バグパイプ(?)のソロが入る(リマスター盤CDのライナーでは Crumhorneの名前も出てくる)。他のバンドならギター主体で泥臭くやりそうな曲調ですが、管楽器も全部自分でやってしまうところがRoy Woodらしいというか…(笑)


作者表記 : アナログ盤、及び2000年代前半まで流通していたCDではBev Bevan作とされていましたが、2008年以降はRoy Wood作に改められています。

[各 種ヴァージョン/ミックス/テイク]

1 : Album Version

 一般流通しているアルバム・ヴァージョン。

2 : Take 5;Rough Mix

 2008 年に発表された別ヴァージョン。
(収録CD)
『Looking On (Deluxe Expanded Edition)』
(CD:(イギリス) Salvo/Fly Records SALVOCD-014/2008年)
『Anthology 1966-1972』((イ ギリス)Salvo/Fly Records SALVOBOX-406/2008年)
『Looking On (2016 Deluxe Edition)』
(CD:(イギリス) Esoteric Records ECLEC 22547/2016年)

3. What?

Jeff Lynne

 Jeff Lynneの作品。誰かを見下ろす立ち位置で歌われる「Looking On」とは対照的に、この曲では地上から"何か"を 見上げている。中〜後期ビートルズを彷彿とさせるメロディ・ラ インとクラシカルなピアノ、ワウをかけたリード・ギターが印象的。"ADT"がフル活用されているため、音全体がダブって聞こえる。

 
ち なみにアルバムに先駆け、シングル「WHEN ALICE COMES BACK TO THE FARM」(1970年 10月)のB面としてもリリースされています。

推測 : バック・コーラスは、メロトロンの"Choir"
の音 も 混ざっているような…。

4. When Alice Comes Back To The Farm

Roy Wood

 アルバムに先駆け、1970年10月にシ ングル発売されたハード・ロック・ナン バーで、Roy Woodがスライド・ギターを弾きながら歌う。途中でチェロのブレイクが入り、Blues調へと変 化。下記でも触れますが、本来もっとBlues Rock色が前面に出ても良さそうな曲調ですが、過剰なADT処理が裏目に出ているようにも思えたり・・・(これは個人的な好みの問題かもしれません)。

 ちなみにドイツのテレビ番組『BEAT CLUB』に出演した際にこの曲を演奏しており、ADT処理が無いためBlues Rock色が強まった印象も。この時の映像は1990年頃に日本でVHSビデオ化されたほか、その後DVD 『The Lost Broadcasts』 (2012年)に収録。

5. Open Up Said The World At The Door

Jeff Lynne

 アナログ盤ではここからSide 2。Jeff Lynneによるジャジーな作品で、曲の場面は遥か昔のダンスホールでしょうか、1930〜40年代のSP盤レコー ド風のヴォーカル・スタイルで「舞 踏会が楽しかった時代は終わった」と歌う

 曲は転調を繰り返し、進行するに連れ重々しくなる。Roy Woodは間奏でエレクトリック・シ タールや管楽器を演奏し、中盤ではBev Bevanのドラム・ソロが登場(一部逆回転処理される)。

[各 種ヴァージョン/ミックス/テイク]

1 : Album Version

 一般流通しているアルバム・ヴァージョン。

2 : Take 4;Rough Mix

 マルチト ラック・テープから、曲の前半1分強のピアノとヴォーカルのみを抜粋したもの。この音源は2016年リマスター盤には未収録。
(収録CD)
『Looking On (Deluxe Expanded Edition)』(CD:(イギリス) Salvo/Fly Records SALVOCD-014)

6. Brontosaurus

Roy Wood

 Roy Woodの作品。1970年のムーヴがHard Rockモードだった事を象徴する曲で、1970年3月にシングル発売され全英第7位のヒットを記 録。前半はスローなヘヴィ・ロック調が続き、途中でテンポが上がり、スライド・ギター・ソロで盛り 上がる。この曲は(Carl Wayne脱退直後のため)3人編成で基本トラックがレコーディングされ、その後新加入のJeff Lynneがピアノをオーヴァー・ダビング。

 ちなみにCheap Trick(70年代アメリカのロック・グ ループ)がアルバム『Heaven Tonight』(1978年)及びライヴ盤『At Budokan (完全版)』「Calfornia Manをカヴァーした際、間奏でこの曲のリフを挿 入しているので、(ムーヴ自体は知らなくても)世代によっては聴き覚えがあると思います。他に『Cheap Trick』(ビクター・エンタテインメン ト VICP-5828/1997年)の日本盤 ボーナス・トラックでもカヴァー。

[各 種ヴァージョン/ミックス/テイク]

1 : Single Version

 一般流通しているシングル・ヴァージョンで、アルバムも同じヴァージョ ン。

2 : US Promo Edit (Stereo)

 アメリカのラジオ用に作成されたプロモ・エディット・ヴァージョ ン。所々削られ、3分強の長さまで縮められている。
(収録CD)
『Anthology 1966-1972』((イギリス)Salvo/Fly Records SALVOBOX-406/2008 年)

3 : US Promo Edit (Mono)

 こちらも同様にプロモ・エディット・ヴァージョ ンで、モノラル・ミックス。
(収録CD)

『Looking On (2016 Deluxe Edition)』
(CD:(イギリス) Esoteric Records ECLEC 22547/2016年)

7. Feel To Good

Roy Wood

 アルバムの最後は、「I Am The Walrus」やThe Guess Who「American Woman」に通ずる曲調のヘヴィ・ロッ ク・ナンバー。Jeff Lynneがドラ ムを叩いている ほか、ドリス・ト ロイ(※1)とP.P.アーノルド(※2)がバック・コーラスで参 加。前半4分がヴォーカル中心。途中から演奏中心になり、ピアノ→ギター→管楽器ピアノスライド・ギター→とソロが続 き、8分14秒で曲が終わる。

 ちなみに曲が終わると「The Duke Of Edinburgh's Lettuce」なる曲が"シークレッ ト・トラック"で入っ ており、メンバー全員のドゥーワップ風コーラスとSPレコード風のヨレたピアノでエンディングを迎 える。


[注釈]
※1 : Doris Troy
 
「Just One Look」(1963年)のヒットで知ら れるアメ リカのR&Bシンガー。1970年にアップル・レコードからアルバムDoris Troyを 発表したほか、バック・コーラスでThe Rolling Stones「You Can't Always Get What You Want」(1969 年)、Nick Drake「Poor Boy」(1970年)、Pink Floyd『The Dark Side of the Moon』(1973年)等、多数の作品に参加。

※2 : P.P. Arnold
 
「The First Cut Is The Deepest」(1967年)のヒットで知られるアメリカの女性R&Bシンガー。60年代半ばにIke & Tina Turnerのバック・コーラスを経て、1966年にImmediate Recordsからソロ・デビュー。他にSmall Faces「Tin Soldier」Nick Drake「Poor Boy」、Al Kooper、Steve Marriott、Peter Gabriel、Roger Waters、Ocean Colour Scene等、様々なアーティストのバック・コーラスに参加。現在もソロ・シンガーとして活躍中。


[Cover Version]

◉ Spitballs『Spitballs』(1978年)
 70年代アメリカのレーベル・Beserkley Recordsの所属アーティスト同士で制作されたアルバムに「Feel To Good」が収録(ヴォーカルはJohn Doukas)。アルバムは他にThe Who、Them、Eddie Floyd、Paul Revere & The Raiders等のカヴァーを収録。(追記:2021年6月16日)

[各 種ヴァージョン/ミックス/テイク]

1 : Album Version

 一般流通しているアルバム・ヴァージョンで、トータル・タイムは約9分30 秒。

2 : Alternate Version

 Album Versionから、後半1分の「The Duke Of Edinburgh's Lettuce」を カットしたもの。
(収録CD)
『Anthology 1966-1972』(CD:(イギリス)SALVO SALVOBX406/2007年)

3 : radio edit

 曲 の前半3分22秒のみを収録したエディット・ヴァージョン。最初の間奏がカットされ、2番目の間奏のピアノ・ソロ(ピアノの音が 右から中央に寄った辺り)でフェイド・アウト。
(収録CD)
『Flowers In The Rain EP』(CD:(イギリス)SALVO SALVOSCD002/2007年)

4 : take 11 extract; rough mix

 曲の3分以降を抜粋した別ヴァージョンで、Album VersionではカットされたDris TroyとP.P. Arnoldのヴォーカル・パートが聴ける。
(収録CD)
『Looking On (Deluxe Expanded Edition)』(CD:(イギリス) Salvo/Fly Records SALVOCD-014)

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