The Golden Cups Album 作 成 :1998年夏 / 更新 : 2017年9月2日
[A面]
1. いとしのジザベル (Album Version)
2. 青い影
3. Got My Mojo Working
4. Unchained Melody
5. I'm Your Puppet
6. Hey Joe
7. 銀色のグラス

[B面]
8. My Girl
9. I Feel Good (I Got You)
10. Searchin' For My Love
11. LSD Blues
12. Do You Know I Love You
13. 陽はまたのぼる
発売日 : 1968年3月10日 / LP:東芝音 楽工業 Capitol CP-8439 /LP:P-Vine PLP-7713 (1997年再発盤)
デイヴ平尾(vo) エディ藩(g)  マモル・マヌー(d,vo) ケネス伊東(g,vo) ルイズルイス加部(b)

1967年6月にシングル「いとしのジザベル」でデビューし、続く「銀色のグラス」(1967年11月)を発表した後、翌1968年3月に発表された ファースト・ アルバム。作曲家によるシングル3曲(1,7,13)、当時のレパートリーと思われる洋楽かヴァーが8曲、メンバーのオリジナル2曲という構成。今の感覚 だと自作が少なく感じますが、60年代の日本の音楽シーンはオリジナル曲重視ではなく(自作曲を多く発表していたのは加山雄三、ザ・ワイルド・ワンズ、 ザ・スパイダース、ブルー・コメッツ等ごく僅か)、自分達の好きな曲を録音する事も難しい時代だったようです。

 シングル曲以外は1967年12月3日からレコーディング作業開始。英米が4〜8のマルチ・トラックだった時代、日本ではま だステレオの2トラック録音。そのため音のバランスが微妙だったりしますが、中にはそうしたハンディを通り越して時代を超越している 演奏も。なお、セッション・ミュージシャンとして日野皓正ノー・クレジットで参加。レコーディング・エンジニアは吉野金次が担当。


[CDについて]
◎『ザ・ゴールデン・カップス・アルバム』(東芝EMI TOCT-10130/1994年)
 1994年12月14日に東芝EMIの"音蔵"という復刻盤シリーズにより初CD化。アナ ログ盤のライナー・ノーツも再現されています。

◎『ザ・ゴールデン・カップス・アルバム』(東芝EMI TOCT-8706/1998年)
 1998年3月18日に東芝EMIの"Cool Price"という復刻盤シリーズの再発盤。プラ・ケースはスリム・ケースに変わり(マキシ・シングルでよく使われている薄型のプラ・ケース)、表ジャ ケット以外の写真と解説書はカットされているのが難点。盤はエクストラCD仕様で、パソコンにセットするとCool Priceのシリーズのカタログを見ることができます(現在は不明)。

『The Golden Cups』(P-VINE RECORDS PCDT-7229〜38)
 2003年にP-VINEから発売された10枚組ボックス・セットの中に含まれたもので、紙ジャケット仕様で復刻されています。

◎『ザ・ゴールデン・カップス・アルバム』(東芝EMI TOCT-25335/2004年)
 2004年2月25日に東芝EMIの"必聴名盤シリーズ"という復刻盤シリーズによる再発 盤。24bit リマスター、紙ジャケット仕様。アナログ盤のデザインをライナー・ノーツも含めて再現(ミニチュア化)されています。紙ジャケは2003年にP-Vine から発売されたボックス・セットでも復刻されましたが、それとはジャケットの色合い・質感、マスタリングは異なります。

◎『ザ・ゴールデン・カップス・アルバム』(東芝EMI TOCT-25381/2004年)
 2004年6月30日に発売された再発盤で、こちらは通常のプラ・ケース仕様。24bitリ マスター、解説書付き。

◎『ザ・ゴールデン・カップス・アルバム』(EMI Music Japan TOCT-25381/2011年)
 2011年12月14日に「EMI ROCKS The First」というシリーズでリリースされた再発盤CD。リマスター、紙ジャケット仕様。

◎『ザ・ゴールデン・カップス・アルバム』(Universal Music Japan UPCY-6920/2014年)
 2014年11月5日にリリースされた再発盤。通常のプラ・ケース仕様で、2014年最新リ マスター、盤はSHM-CDを採用。歌詞・解説書付き。ちなみに2012年にEMI系列の権 利がユニバーサルや ワーナー等に移行したため、今回からユニバーサルからのリリースになります。


[音源配信について/更新:2010 年11月19日]
 この作品は以下のサイトでダウンロード購入ができます(※対応OS、ファイル形式にご注意ください)。
●Listen Japan :
http://listen.jp/store/album_4988006149243.htm
●Amazon : ザ・ ゴールデン・カップス・アルバム

1. いとしのジザベル (Album Version) (作詞 : なかにし礼 / 作曲 : 鈴木邦彦)

 1967年6月15日発表のデビュー曲ですが、ここではアルバム用に再レコーディングされた別テイクで収録。Single Versionで聞けたファズ・ギターが消え、代わりにストリングスが加わり青春歌謡&哀愁度が増した仕上がりに。リード・ヴォーカルはデイヴ平尾で、エディ藩ケネス伊東が バッキング・ヴォーカルを担当。それまで本牧の独特な環境と米兵客の前で洋楽のカヴァーを演奏していたカップスにとっては初めて歌う"日本語の歌"でもあ り、当時のカップス本来のスタイルとは全く異なる歌謡曲調の持ち味は大分薄まっていますが、ベースだけは独特な動きをみせています。

 作詞はなかにし礼、見せていてそこが面白かったりしますが、聴き手の好みによって感想も違ってくると思っていただけると…。1967 年当時にこの曲 に衝撃を受けたという声も実際に見聞きした事もあるんですけど、どうしてもネガティヴな印象しか受けなくてこういう書き方になって申し訳ありませんが、ど う考えてもバンドの本心ではないなぁ…と思い、メンバーのインタビューを色々と読むと案の上そうで、普段のレパートリーとは全く別世界な曲調にメンバーは 困惑、しかも彼らにとって初めて歌う"日本語の歌"…読んでいて意味不明かもしれませんが、外国のバンドが言われるまま日本語の曲をやらされた的な感覚 だったのではないでしょうか。レコード・デビュー出来る条件として。それでも現役時代にステージでは殆ど演奏しなかったとのこと。作曲を担当した鈴木邦彦 (「トンネル天国」「天使の誘惑」「恋の奴隷」「情熱の嵐」等数多くの名曲を手がけた作曲家。90年代は某物まね番組の審査員としても知られていた)は 「彼等に合わせて満足行くように作ったんだよ。ところが会社の方がそれじゃダメだと。」と後に雑誌のイ ンタビューで答えています。

ちなみにSingle Versionの方はCD化される機会が少なく、2003年に出た10枚組ボックス・セットやベスト盤『2001 millennium+1 BEST』(2001年)等で聴く事が出来ます(2014年現 在)。


2. A Whiter Shade Of Pale (青い影) (作詞 ・作曲 : Keith Reid / Matthew Fisher)

 60年代後半〜70年代半ばにかけて活躍したイギリスのグループ、プロコル・ハルムが1967 年に大ヒットさせた超有名曲。カップス版はチープなキーボードが加わり、ヴォーカルも原曲に近い深いリバーブがかけられていますが、この曲に関しては聴き 手によって好みの分かれるところ…。リード・ヴォーカルはデイヴ平尾ですが、2003年の再 結成ラ イヴではミッキー吉野がハモンド・オルガンを弾きながら歌っていました。

追記1:「ロック画報 12」(2003年6月25日発行)に掲載されて いるミッキー吉野のインタビューに、このアルバムのキーボードの演奏は鈴木邦彦が担当しているとのコメントあり。
追記2: 作者クレジットについて。これまで作曲者はKeith Reid/Gary Brookerと されてきましたが、2007年にProcol HarumのCDが英Salvoから発売された際、Keith Reid/Matthew Fisherに改められています。(掲載:2011年2月18 日)


3. Got My Mojo Working (作詞・作曲 : Preston Foster)

 アメリカのブルース・マン、Muddy Watersで知られる作品で すが(※)、いわゆるスタンダード・ナンバーとして大量のカヴァーが存在します。60年代で はManfred Mann(1964年)やThe Zombies(1965年)といったBritish Beat系バンドが、アメリカではButterfield Blues BandThe Shadows Of Knight(1966年)が取り上げており、カップスも恐らくそうした60年代のバンド経由でレパートリーに加え たようです。勢いの点ではThe Zombiesも引けを取らないものの、カップス版は動き回るベースやファズ・ギターが加わりかなりガレージ・パンク的なプレイになってい る(ハーモニカはオーヴァー・ダビングと思われる)。カップス及びデイヴ平尾にとって長年プレイし続けた曲でもあり、『Super Live Session』『One More Time』(2004年)等、時期によって演奏スタイルも様変わりして行きます。

(※) 作者クレジット がアーティストによって異なっており、カップス版のようにM. Morganfieldとなっているものもあれば、The Zombies版では"Preston Foster"となっている。Manfred Mannに至ってはイギリス盤CDでは"M. Morganfield"、日本盤CDでは"Foster"となっている。また、タイトルもManfred Mannや陣内孝則ヴァージョンは「I've Got My Mojo Working」、カップス版は「Got My Mojo Working」となっている。「Got My Mojo Workin'」となっているものもあり、表記は様々。


4. Unchained Melody (作詞・作曲 : A.North / H.Zaret)

 「ふられた気持」のヒットで知 られるアメリカのデュオ、ライチャス・ブラ ザーズの1965年の名バラードのカヴァー(大元は1955年頃の曲のようで す)で、1990年に映画ゴーストで使用された事で再び脚光を浴びた曲でもありました。 カップス版ではマモル・マヌーがリード・ヴォーカル。関連書籍ではレコード会社の意向でレ コーディングされた、または各メンバーに歌わせて結果マモル・マヌーが歌う事になった…的な事が書かれている一方で、柳ジョージの著書『敗者復活戦』(1979 年)の中でグループ・アンド・アイ(カップスがレコード・デビューする以前のバンド名)について触れられている部分でこの曲が登場している(p.62)。 真相は定かではありませんが、曲調からしてチーク・タイム(←平成生まれの方にとっては意味不明の可能性大)でやってそうな気がする。
5. I'm Your Puppet (恋の操り人形) (作詞・作曲 : L.Oldham / Dan Penn)

 オリジナルは60年代アメリカのソウル・グループ、JAMES & BOBBY PURIFYの1966 年のヒット曲で、The Box Tops(ア レックス・チルトンがBig Star以前に在籍していたバンド)も1967年に取り上げています。オリ ジナルではピアノ、オルガン、グロッケン、ホーン・セクションが登場しますが、カップスはバンドのみで演奏。また、2004年10月10日@渋谷公会堂で 行われたライヴでも再演されています。

6. Hey Joe (作詞・作曲 : Billy Roberts)

 ルイズルイス加部のリード・ベースが炸裂する名演。ヴォーカルはケネス伊東。この曲はティム・ローズをは じめ、ジミ・ヘンドリックスのヴァージョンが有名ですが、同時期にThe Byrds、The Leaves、LoveThe Music MachineThe Cryan' ShamesThe Marmalade、The Shadows Of Knight(これがカップスのヴァージョンに近いアレンジになっています)、Deep Purpleなどが取り上げていました。また、海外でリリースされているガレージ/サイケ デリックのオムニバス盤にも収録されたことがありました。

7.銀色のグラス (作詞 : なかにし礼 / 作曲 : 鈴木邦彦)

 1967年11月15日発表のセカンド・シングルで、8万枚のセールスを記録。ファズ・ベースのイントロからデイヴ平尾のシャウト共にパンク・ロック風の激しい演奏が始まる。そして一旦スロー・テンポになり歌が 始まると歌謡曲風のメロディにってしまうのが難点ですが、ルイズルイス加部の驚異的なベー ス・プレイは必聴。海外でリリースされているGSのブートレグLPにも収録されていました。

追記:この曲でのドラムはマモル・マヌーではなく、スタジオ・ミュージ シャン(?)が叩いているらしい。(参考資料:「ロック画報 12」)


8. My Girl (作詞・作曲 : W.Robinson / R.White)

 モータウン・レコードの代表的なグループ、テンプテーションズの1965 年の超有名曲。他にザ・テンプトーンズ(ダリル・ホール在籍)、The Rolling Stonesも取り上げていました。日本ではゴールデン・カップスがいち早く取り上げていたようで、間奏がオリジナルとはちょっと異なりま す。


9. I Feel Good (I Got You) (作詞・作曲 : James Brown)

 James Brownの1965年のヒット・ナンバー(註: James Brown版だと曲名が"I Got You (I Feel Good)"とされていますが、カップス版では逆になっています)。他にThe Jam鮎川誠等も取り上げてい ます。ちなみにリード・ヴォーカルは録り直したようで、元のヴォーカルが微かに聞こえます。ゲストとしてトランペットの日野皓正が参加。


10. Searchin' For My Love (作詞・作曲 : Bobby Moore)

 オリジナルはBOBBY MOORE & THE RHYTHM ACESの1966 年のヒット・ナンバー。デイヴ平尾はオリジナルに忠実に歌っている。


11. LSD BLUES (作詞 ・作曲 : ケネス伊東)

 このアルバムには2曲、メンバーによるオリジナルが含まれていますが、これはそのうちの一つで、ケネス伊 東の作詞・作曲。まずタイトルが凄いですが(笑)、歌詞はそういう内容ではなく、典型的なブ ルース・ナンバー。とはいっても1968年当時の日本でこの手のナンバーは極めて珍しかったのでは。ちなみにイタリア製のGSブートLPにも収録されてい ました。
12. DO YOU KNOW I LOVE YOU (作詞 : ケネス伊東 / 作曲 : エディ藩)

 ケネス伊東作詞、エディ 藩作曲のR&B調のオリジナル・ナンバー。アルバムに先駆けてシングル「銀色のグラ ス」のB面として発表され、後にテレビ・アニメ『巨人の星』で もBGMとして使われた事がありました。


13.陽はまた のぼる (作詞 : なかにし礼 / 作曲 : 鈴木邦彦)

 シングル「いとしのジザベル」のB面にも収録されていたガレー ジ・サイケ風の作品で、鈴木邦彦作曲、なかにし礼作詞。A面の「いとしのジザベル」よ りもこちらの方がバンドのイメージに近いのではないでしょうか。エディ藩のファズ・ギターやルイズルイス加部のベース・プレイも聴き所の一つ。海外で出回っているGSのブートレグLPにも収録さ れていました。

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