φ(PHY)
発売日:1984年12月21日

1.Venus(作詞:柴山俊之/作曲:花田裕之)
2.COME ON(作詞:大江慎也,M.Alexander/作曲:大江慎也)
3.DOWN DOWN(作詞:柴山俊之/作曲:花田裕之)
4.HEAVY WAVY(作詞:大江慎也/作曲:下山淳)
5.BROKEN HEART(作詞:柴山俊之/作曲:花田裕之)
6.FEMME FATALE(作詞・作曲:Lou Reed)
7.STREET IN THE DARKNESS(作詞:柴山俊之/作曲:花田裕之)
8.MESSAGE FROM・・・・・COME ON,LOVE MY GIRL(作詞:柴山俊之/作曲:花田裕之)
9.LAST SOUL(作詞:大江慎也/作曲:下山淳)
10.PUNISHMENT(作曲:花田裕之,下山淳)
LP:COLUMBIA AF-7334
CT:COLUMBIA CAR-1337
CD:COLUMBIA 30CA-1782
(1987.9.1.)
CD:COLUMBIA COCA-12578
("Q盤"/1995.5.20.)
CD:TRIAD COCP-50263
(紙ジャケ/2000.3.18.)
CD:TRIAD COCA-50757
(紙ジャケ/2003.9.10.)
Produced by Shozo Kashiwagi for OUR JOY
Arranged by The Roosterz
Engineers:Yasuyuki Moriyama
Recorded and Mixed at Star Ship by Yasuyuki Moriyama,Shozo Kashiwagi
Original Album Cover Art Direction:Tomone Kaburagi and Michimasa Itaya
Cover Art:Tomone Kaburagi
Graphic Work:Ritsuko Nakamura
Photography:Kaoru Ijima
Microscope Specialist:Takehiko Hayashi
Cover Comcept:Shozo Kashiwagi
大江慎也(vocal)花田裕之(guitar,vo,chorus)下山淳(guitar,bass,chorus)
灘友正幸(drums)安藤広一(keyboards)

大江慎也在籍時最後のアルバム。この頃、バンドの状態は崩壊寸前だったらしく、大江が再び精神的に不調になり、ステージで歌えなくなったり、レコーディングに顔を出さない事がしばしあったそうです。そういう状態に他のメンバーも精神的なストレスが増し、花田はライヴでギターを投げ捨ててステージを去ったり('84年12月31日)、安藤はアルバム発表後の1985年3月に脱退した(家業を継ぐというのが理由らしいが、しばらくしてプロデューサーとして活動)。ベースは柞山一彦が既に参加していたが、ここでは下山が弾いている。
ただ、バンドの内部が不安定な状態にも関わらず、サウンドからはそういったものはあまり感じられないどころか、アルバムとしての完成度は高く、全体を通して繊細で美しい世界観を描き出した事は奇跡だというしかない(普通だったらとっくに解散しているはず)。音楽評論家の間でも高く評価され、アルバムの売り上げも過去最高だったそうです。
(一部資料提供:Mさん)

製作過程:レコード会社の要請でアルバム製作に取りかかったものの、その時点で完成していたのは2曲だけだったそうで(「Venus」「Come On」はレコーディング前からライヴ演奏されていたので恐らくこの2曲の事と思われます)、
ず、プロデューサーの柏木安藤の2人で具体的なアイデア(60年代後半のフラワー/サイケデリック・ムーヴメントetc...)を出し合い、花田下山が作曲(スタジオ入してから作った曲もあったらしい)とベーシック・トラックのレコーディング、続いて柴山俊之の歌詞が出来た後に安藤がイミュレーター(サンプラーの一種)を使用してフルートやストリングスの音を重ねていったという。アルバム・タイトルをつけたのは大江
アルバム・ジャケットについて:フロント・カヴァーは、絵の具を顕微鏡で拡大したものだそうです。

1.Venus(作詞:柴山俊之/作曲:花田裕之)
 
花田裕之作曲の、オープニングに相応しいネオ・アコ・タッチの幻想的なナンバーで、中期ルースターズを象徴する代表作。"DENON CONCEPT"というのオーディオのCMにもイメージ・ソングとして使われていました。
 この曲は1984年の夏頃からライヴで演奏されており、当初は歌詞が英語でした。その後日本語の歌詞に書き直されビデオ
パラノイアック・ライヴ「I'll Be Eyes」というタイトルで収録。そしてこのアルバムでは柴山俊之による作詞で「Venus」というタイトルになっています。
このようにアルバム発表までに何度かモデル・チェンジをしている曲ですが、厄介な事に作詞者のクレジットが
「Venus」柴山俊之「I'll Be Eyes」ルースターズとなっている。更にAll About Shinya Ohe Vol.4ではMARRとなっていて、混乱する。当時のインタビューによると、歌詞は曲が出来てから柴山俊之が曲のイメージに合った歌詞を書いていたそうです。ヴォーカルは大江。不安定な歌声を聴いていると、幻想的な曲調に痛々しささえ感じる。逆にそこがこのアルバムの魅力にもなっているのも事実で、それまでロックン・ロール一辺倒だったバンドが、ここまで表現力豊かなサウンドを作り上げた事も驚異的。透明感溢れる2本のエレクトリック・ギター(イントロのリフと最初のギターソロが花田、曲後半のギター・ソロは下山が弾いています)と力強くかき鳴らされるアコースティック・ギター、全体を包み込むようなキーボードがこの曲の魅力をより高めていると思います。

ヴァージョン/テイク違いについて:
a:1984年7月15日、赤坂ラフォーレミュージアムでのライヴ・ヴァージョンがビデオパラノイアック・ライヴ『φ』の(2000年発売の)紙ジャケット盤に収録。ただしタイトルは「I'll Be Eyes」で、元々大江が英語で歌っていたものをカットし、後で別の日本語の歌詞で歌い直しています。

b:All About Shinya Ohe Vol.4に収録されているテイクはビデオパラノイアック・ライヴと同じですが、長いイントロがカットされ、ミックスも異なります。

花田裕之のコメント:「『VENUS』なんか菅原洋一に歌ってもらいたいなと思ってました(笑)あのビブラートの利いた声がいいなと思って(笑)・・・あの人は日本のブライアン・フェリーでしょ、やっぱり(中略)僕は割と自分の作った曲を大江がどう歌ってくれるかが楽しみで、作曲している部分が多いんですね。『VENUS』だって、考えてた以上に、よくなったパターンの曲なんです。最初僕が狙っていた所よりも。」(「ロッキング・オン」1985年2月号より抜粋)


2.COME ON (作詞:大江慎也,M.Alexander/作曲:大江慎也)
 アルバム中唯一の大江慎也の作品。ヴォーカルはラップなのか?・・・曲の雰囲気はどことなく
テレヴィジョン「FRICTION」を思わせる。
ライヴでは1984年7月頃から演奏され始め、大江脱退後も重要なレパートリーとして取り上げられていました。

◎ヴァージョン/テイク違いについて:
a:1984年7月15日、赤坂ラフォーレミュージアムでのライヴ・ヴァージョンがビデオパラノイアック・ライヴ『φ』の2000年紙ジャケット盤に収録。ただしタイトルは「COME ON TO ME」になっています。
b:All About Shinya Ohe Vol.4にライヴ・ヴァージョンが収録されています。


3.DOWN DOWN (作詞:柴山俊之/作曲:花田裕之)
 
柴山俊之作詞、花田裕之作曲&ヴォーカル。アルバムの中で最も最後に作られた曲だそうで、花田裕之のヴォーカルと重なって聞こえてくる低音ヴォーカルは実は柴山俊之が歌っています。

小ネタ : 花田裕之は解散後、ライヴで何度かこの曲を取り上げており、1995年のRock'n'Roll Gypsiesでのツアーや、2009年2月28日に行われた"流れ"でも再演されています。


4. HEAVY WAVY (作詞:大江慎也/作曲:下山淳)
 
下山淳作曲のアヴァンギャルドな作品。大江のパラノイアックな歌詞とヴォーカルが曲の雰囲気に見事にマッチしている。変則的なリズム・パターンはシド・バレット在籍時のPink Floydの影響を感じさせられます。
また、この曲では
灘友がドラムを叩いていないとの噂がありますが、真相は不明。ライヴでは一度も取り上げられていないようです。
5. BROKEN HEART (作詞:柴山俊之/作曲:花田裕之)
 
柴山俊之作詞、花田裕之作曲によるもの悲しい曲調の作品。何故か「Q盤」CDの歌詞カードではこの曲の作曲クレジットが抜けています。アナログ盤ではここまでがA面でした。
6. FEMME FATALE (作詞・作曲:Lou Reed)
 アナログ盤ではここからがB面。オリジナルは
ヴェルベット・アンダーグラウンド&ニコがアンディ・ウォーホルのプロデュースで1967年に発表した作品。邦題は「宿命の女」。
このアルバムでは2曲目となる
花田裕之によるヴォーカルで、コーラスは下山。オリジナルではどこかどんよりとした雰囲気がありましたが、ルースターズは透明感のある美しいサウンドに仕上げており、オリジナルに匹敵する完成度を誇っていると思います。またこの曲は他にアメリカのビッグ・スターもこの曲を取り上げており、イギリスのDuran Duranは1993年のアルバム『Duran Duran(The Wedding Album)』Thank Youで取り上げています。

◎ヴァージョン/テイク違いについて:
a:1984年7月15日、赤坂ラフォーレミュージアムでのライヴ・ヴァージョンがビデオパラノイアック・ライヴ『φ』の2000年発売の紙ジャケット盤に収録。
b:アルバム発表当時のインタビューによると、録音に時間をかけた別テイクがあり、花田裕之が再録音を提案したためにお蔵入りに。後に『Virus Security』に収録。


7. Street In The Darkness (作詞:柴山俊之/作曲:花田裕之)
 
柴山俊之作詞、花田裕之作曲による、退廃的なムードが漂う重い曲調の作品。

小ネタ : 花田裕之は解散後、ライヴで何度かこの曲を取り上げており、近年では2009年10月31日に須田町・Deborahで行われた"流れ"でこの曲を再演しています。


8. MESSAGE FROM・・・・・COME ON,LOVE MY GIRL(作詞:柴山俊之/作曲:花田裕之)
 こちらも
柴山俊之作詞、花田裕之作曲による作品。60年代後半のフラワー・ムーヴメントの頃を連想させる妙なメルヘン的世界が展開される。イントロ等で安藤のキーボードが全面に出ていますがエンディング間際で登場するファズ・ギターが非常に効果的。ライヴでは一度も取り上げられていないようです。
9.Last Soul (作詞:大江慎也/作曲:下山淳)
 
大江慎也作詞、下山淳作曲の幻想的で美しいフォーク・ロック作品で、下山が初めて作った曲だそうです。深いエコーのかかった大江の淡々としたヴォーカルと不思議な魅力のある歌詞、間奏での下山のギター・ソロ、曲の後半に登場する安藤によるメロトロンを思わせるストリング・シンセ等、どれもが素晴しくこのアルバムの聴き所の一つ。
 なお、ライヴでは
大江在籍時の短期間しか演奏されていないようでしたが、ここ最近は下山淳のソロ・ライヴで数回、大江慎也も何度かライヴで取り上げており、そのうち一つは2005年9月28日発表の大江慎也 & 花田裕之名義のアルバムOrigin Duo〜Counterattack 大江慎也&花田裕之Acoustic Live(Creage POCE-3515)の中に収録されています。
ORIGIN DUO~COUNTERATTACK 大江慎也&花田裕之ACOUSTIC LIVE(DVD付) ORIGIN DUO~COUNTERATTACK 大江慎也&花田裕之ACOUSTIC LIVE(DVD付)
(2005/09/28)
大江慎也 & 花田裕之

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10.PUNISHMENT(作曲:花田裕之,下山淳)
 最後は花田と下山によるインスト・ナンバー。タイトルからして、映画のサントラなんでしょうか?それとも架空の映画をでっち上げたものなのか・・・資料がないので解りません。

CD BONUS TRACKS (2000年3月18日発売の紙ジャケット版のみ収録)

11.Come On To Me(作詞・作曲:大江慎也)
12.I'll Be Eyes(作詞:ザ・ルースターズ/作曲:花田裕之)
13.Femme Fatale(作詞・作曲:Lou Reed)
14.Tonight(作詞・作曲:David Bowie,Iggy Pop)
 この4曲はすべてビデオパラノイアック・ライヴからの音源。11は「Come On」の事で、大江がギターを弾きながら歌っている。13ではベースの柞山がサビの部分でルー・リード「ワイルドサイドを歩け」の有名なベース・リフを弾いている。14はイギー・ポップの曲で、デヴィッド・ボウイが同名タイトルのアルバムで取り上げていた。

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