RECITAL (東京渋谷公会堂に於ける実況盤)

[A面]
1. OPENING〜長い髪の少女
2. いとしのジザベル〜陽はまた昇る
3. 銀色のグラス
4. 愛する君に
5. 本牧ブルース
6. 蝶は飛ばない
7. もう一度人生を
[B面]
8. Spponful
9. Without You
10. Communication Breakdown
11. Let Me Love You
12. The Weight
13. 蝶は飛ばない
発売日 : 1969年10月10日 / LP:東芝 音楽工業 Capitol CPC-8011
デイヴ 平尾 (vo) ルイズルイス加部 (g) マモル・マヌー (d,vo) ミッキー吉野 (k,cho) 林恵文 (b,cho)
 前作『Super Live Session』のライヴ録音直後の1969年4月下旬、エディ藩とケネス伊東が脱退。2人のギタリストが抜けた穴はルイズルイス加部がリード・ギターに替わり、ベースは本牧のバンド仲間から 林恵文が加わる事で埋められます。この新体制で全国のジャズ喫茶やテレビ出演をこなした後、シングル「蝶は飛ばない/もう一度人生を」(1969 年7月10日)を発表。そして 1969年7月20日、レコード・デビュー2周年を記念したリサイタルが渋 谷公会堂で行なわれ、30分のテレビ放映(1969年8月17日フジテレビ)の後にLPレコード化されたのが本作。

 LPのA面にあたる第1部ではビッグ・バンドと共にシングル曲をメドレーで演奏。当時テレビ以外では殆ど演奏しなかったシングル曲のライヴ音源は非常に 珍しく、第2部ではR&Bや英米のビート・グループのナンバーを演奏していた時代は過去となり、60年代後半のロック・シーンを反映して Blues RockやHard Rockからの選曲が目立ちますが、メンバーの好みを反映した結果こうなったということでしょう。サウンドも全体的にハードになり、ルイズルイス加部のエキセント リックなギター・プレイも聴き所の一つ。

 本作発表後、バンドはしばらくこの時のメンバーで活動を続けますが、マモル・マヌーが周囲に促される形でソロ歌手として独立。ルイズルイス加部と林恵文は当時 の状況に嫌気がさし12月末を持って脱退。カップスもこのままGSブームの衰退と共に危うく消えそうになりますが、メンバー脱退が決定した直後からバンド再編 に動き出します。

追記 : このリサイタルではLP化された曲以外にも「You've Made Me So Very Happy」(Blood, Sweat & Tears)、「How Many More Times」(Led Zeppelin)が演奏されたようですが、惜しくも音源は現存していないようです。(書籍
『ザ・ゴールデン・カップス のすべて』より。)
[CDについて]
◎『ゴールデン・カップス・リサイタル (東京渋谷公会堂)』(東芝EMI TOCT-8710/1994年)
 1994年12月14日に東芝EMI の"音 蔵"という復刻盤シリーズにより初 CD化。

『The Golden Cups』(P-VINE RECORDS PCDT-7229〜38)
 2003年にP-VINEから発売された10枚組ボックス・セットの中に含まれたもので、紙ジャケット仕様で復刻されています。

◎『ゴールデン・カップス・リサイタル』(東芝EMI TOCT-25385/2004年)
 2004年6月30日に発売された再発盤で、こちらは通常のプラ・ケース仕様。24bitリマスター、解説書付き。

『リ サイタル』 (Universal Music Japan UPCY-6920/2014年)
 2014 年11月5日にリリースされた再発盤。通常のプラ・ケース仕様で、音源は2014年最新リマスター、盤はSHM-CDを採用。ちなみに2012年にEMI 系列の権利がユニバーサルやワーナー等に移行したため、今回からユニバーサルからのリ リースになります。
[音源 配信について/更新:2010年11月19日]
この作品は以下のサイトでダウンロード購入ができます(※対応OS、ファイル方式にご注意ください。また、サービス終了等に よりリンク切れになっている場合があります)。
●iTunes : http://itunes.apple.com/jp/album/id387132315
●MORA(モーラ) : http://mora.jp/package/80312032/0370006118904/
●OnGen : http://www.ongen.net/search_detail_album/album_id/al0000003431/
●Listen Japan : http://listen.jp/store/album_4988006118904.htm
●Amazon : ゴー ルデン・カップス・リサイタル(東京渋谷公会堂)
[収録曲]
1. Opening (=Cat's Squirrel) (作詞・作曲 : "Traditional")〜長い髪の 少女 (作詞:橋本淳/作曲 : 鈴木邦彦)

 クレジットはありませんが、オープニングで演奏されているインストゥルメンタル・ナンバーはCreamやJethro Tullも取り上げていた「Cat's Squirrel」。途中でベース→ドラム→オルガ ン→ギターと各メンバーのソロがある。その後
大ヒット曲「長い髪の少女」を歌詞の1番だけを演奏。
2. いとしのジザベル〜陽はまた昇る (作詞:なかにし礼/作曲 : 鈴木邦彦)

 これもメドレー形式でさわりだけですが、ガレージ・ロック的な勢いのある演奏が聴ける。
3. 銀色のグラス (作詞:橋本淳/作曲 : 鈴木邦彦)

 この曲から「欽ちゃんの家族対抗歌合戦」でおなじみだったビッグ・バンド、
ダン池田と ニュー・ブリードが加わり、一気に昭和歌謡ショー的な雰囲気に。シングルとは異なり、イント ロはデイヴ平尾の「こぼれた〜っ♪」の独唱で始まる。このパターンは再結成以降のライヴでも定着する事に。
4. 愛する君に (作詞:なかにし礼/作曲 : 鈴木邦彦)

 この曲も
ダン池田とニュー・ブリードが加わった演奏。スタジオ版の間奏はミッキー吉野のソロでしたが、ここではルイズルイス加部のギター・ソロに変更されています。
5. 本牧ブルース (作詞:なかにし礼/作曲 : 村井邦彦)

 この曲もダン 池田とニュー・ブリードが加わった演奏。 ルイズルイス加部のギター・ソロが唯一の救い・・・。
6. 蝶は飛ばない (作詞:なかにし礼/作曲 : 鈴木邦彦)

 
この曲もダン池田とニュー・ ブリードが加わった演奏。この リサイタル直前の1969年7月10日にシングル発売された曲で、スタジオ版より勢いのある演奏。
7. もう一度人生を (作詞:なかにし礼/作曲 : 鈴木邦彦)

 シングル・ヴァージョンでの荒々しい演奏とは対照的なアレンジで、昭和歌謡風な雰囲気に…。後の
マモ ル・マヌーのソロ作品のような趣き。アナログ盤ではここまでがA面でした。
8. Spoonful (作詞・作曲 : Willie Dixon)

 アナログ盤ではここからがB面。ライヴでは第2部にあたり、ようやくカップスだけの演奏が始まる。
曲はCream『Fresh Cream』(1966年)やパワー・ハウスザ・フー等 もカヴァーしていたHowlin' Wolfのブルース・ナンバー。第2部のオープニングとして演奏されたもの。林恵文のファズ・ベースが途中で接触不良になるハプニン グも。
9. Without You (作詞・作曲 : Danny Kirwin)

 
フリートウッド・マック(Peter Green時代)のアルバム『英吉利の薔 薇』(1968年)に収録されていたダニー・カーワン作曲のスロー・ブルース。ついさっきまで「マモルゥ〜!!」と叫んでいた女性ファンが一斉に静まりかえる。
10. Communication Breakdown (作詞・作曲 : Jimmy Page/John Paul Jones/John Bonham)

 スロー・ブルースから一転、ここから一気にハード・ロックへ。Led Zeppelinのファースト・アルバム(1969年1月発表)収録曲。
あまりのテンションの高さ故か、途中でリズムがズレてしまっているのが惜しいですが、レコード化された日本のバンドによるツェッペリン・カヴァーとしては初のリリースと思われます。
11. Hard Road (=Wring That Neck) (作曲 : Ritchie Blackmore/Jon Lord/Nick Simper/Ian Paice)

 ツェッペリンに続いてはディープ・パープル。
「Black Night」が日本でヒットするのは翌年なので、これも早い段階でのカヴァーと言えそう。通 称"第1期"時代のセカンド・アルバム『The Book Of Taliesyn』(1968年12月発表)に収録されていたインストゥル メンタルで、現在は別題「Wring That Neck」としても知られている曲。余計なツッコミをすると、オリジナル盤の解説書では「ジョン・メイオールの・・・」と誤って紹介されていまし た(書籍日本ロック紀GS編でも同 様…John Mayall & The Bluesbreakersに「A Hard Road」という曲があるので混同してしまったと思われます)。ちなみに2004年10月 10日@渋谷公会堂で 行われたライヴ上で、林恵文を含む第3期メンバーの再集結が実現し、この曲を再演しています。

12. Let Me Love You (作詞・作曲 : Rod Stewart)

 続くは
Rod Steawrt作のブルース・ロックで、Jeff Beckのアルバム『Truth』(1968年8月発表)収録曲。オリジナルに負けず劣ら ずな迫力のある演奏。

別 テイク:
 書籍『ロック画報 (12)』(2003年)付属の「SPECIAL SAMPLER CD」に、同メンバー・同時期による別のライヴ・テイクが収録されています。こもり気味な音質から察すると、恐らくAMラジオ出演時のスタジオ・ライヴと 思われますが、こちらではさらに自由奔放なルイズルイス加部のギター・プレイが聴けます。

13. The Weight (作詞・作曲 : Jaime Robbie Robertson)

 ブリティッシュ・ハード・ロック路線から今度はスワンプ・ロックへ。The Bandのファースト・アルバム
『Music From Big Pink』(1968 年)収録曲。渋みのあるオリジナルに対し、カップスのヴァージョンは荒々しい演奏。恐らくデイヴ平尾の好みによる選曲と思われますが、これ以降のカップス の音楽的変化を知る上で興味深い選曲。

別 テイク:
 
a : 文化放送
『ハロー・パーティー』スタジオ・ライヴ

 
『リサイタル』から約半年後の1970年前半の録音と思われる、文化放送のラジオ番組『ハロー・パーティーでのスタジオ・ライヴ。演奏メンバーはデイヴ平尾 (vo)/エディ藩(g,cho)/ケネス伊東(b,cho)/ミッキー吉野(k)/アイ高野(d,cho)と大幅に入れ替わり、テンポもより抑えられて いるのが特徴。Mike Bloomfield & Al Kooperの『フィルモアの奇跡』(1968年)でのテンポも少なからずヒントになったと思われます。このテイクは2003年発表の10枚組ボックス・セット『The Golden Cups』(P-VINE RECORDS PCDT-7229〜38)のみに収録(※2014年現在)。

b : 2003 Live Version (仮)

 
↑は記載の都合上の表記で、実際にそう呼ばれているわけではありませんのでご 了承ください。2003年5月4日、映画
『ワンモアタイム』の撮影用に神奈川県・新 山下にあったライヴ・ハウスで行われた再結成ライヴでのテイク。曲の前半はインスト&コーラス中心で、途中からデイヴ平尾が登場する。DVD及びCD『ワンモアタイム』に収録。

14. 蝶は飛ばない (作詞:なかにし礼/作曲 : 鈴木邦彦)

 最後は再び「蝶は飛ばない」が演奏されていますが、こちらはシングル版に近い演奏。
原稿作成 :1998年夏 / 更新 : 2010年11月19日,2014年11月8日
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