Super Live Session (横浜ゼンに於ける実況盤)

[A面]
1. Got My Mojo Working
2. I'm So Glad
3. The 59th Street Bridge Song (Feelin' Groovy)
4. One More Heartache
5. Season Of The Witch
[B面]
8. Gloria
9. Born Under A Bad Sign
10. Man's Temptation
11. Zen's Blues
発売日 : 1969年8月1日 / LP:Capitol CPC-8009 / LP:P-Vine PLP-7614(2001年再発盤)
デイヴ 平尾(vo) エディ藩(g,vo) マモル・マヌー(d,vo) ケネス伊東(g,vo) ルイズルイス加部(b) ミッキー吉野 (k)
ゲ スト(Track 11) : 陳信輝(g) 柳譲治(b)

 1969年4月21日、横浜の「ゼン」と いう店でのライヴをレコーディングしたもので、カップスにとって初のライヴ・アルバム。前作『Blues Message』(1969年3月)ではクリアな音質と平坦なミックスが仇となって本来の魅力を引き出せていなかったのに対し、本作ではやや粗めな音質ながらも、GS路線(=妥協)も一切なし・バンド本来の姿と演奏の迫力を捕らえる事に成功。全編にわたりエディ藩の ギター・プレイは冴え渡り、ミッキー吉野は当時日本のバンドではまだ珍しかったハモンド・オルガンとエレクトリック・ピアノの組み合わせにより、サウンド は一層広がりを見せています。彼らの初期のレパートリー「Got My Mojo Working」「Gloria」も大きく変貌を遂げているように、どの曲でもメンバーは好き勝手に演奏しているにも拘らず、時々絡み合って爆発する瞬間 が随所にあり、どこかジャム・バンドを聴いているような感覚。他のレパートリーもCreamや当時のロックで先端とされていた『Super Session』『フィルモアの奇跡』(2枚共にAl Kooper絡み)からの影響が反映されたものになっており、日本のロックがGSからニュー・ロックへと移り変わる瞬間を垣間みれるアルバム…という説明はひとまず置いといて、これは捉え方や好みの問題になりますが、「GS」「ガレージ」「ファズ」といったキーワードで本作に接すると、ちょっとおかしな事になると思います。最初の2枚のアルバムにはその要素も含まれていますが、1969年以降はその範疇を超えたものになっている事は認識しておいてもいいと思います。むしろGSに偏見を抱いていたり聴かず嫌いの方に、誰が演奏しているかを教えずに聴かせてどんな反応をするかを観てみたかったり…(笑)。個人的にはカップス全作品で最も聴いた回数が多い、避けては通れない存在のアルバム。


[アルバム・ジャケットについて]

 ジャケットは見開き仕様になっており、サイケデリックな絵はルイズルイス加部がふすまに書いたものらしい(何やらヤ バいものが所々に描かれている…(笑))。また、エディ藩とケネス伊東は解説書の横に顔写真が載せられ、ジャケット用のフォト・セッションには新加入の林 恵文が写っています。


[CDについて]
◎『Super Live Session』(東芝EMI CT25-5569/1989年)
 1989年に"極東ロック・コレクション" というシリーズの1枚として初CD化。ジャケットは表・裏ともに復刻されていますが、見開き仕様ではなく、裏ジャケットのデザインは多少変えられていま す。CD用に新たに書かれた解説所付き。

◎『Super Live Session』(東芝EMI TOCT-8709/1994年)
 1994年12月14日に東芝EMIの"音蔵"という復刻盤シリーズにより2度目のCD化。アナログ盤のライナー・ノーツも再現されています。

『The Golden Cups』(P-VINE RECORDS PCDT-7229〜38/2003年)
 2003年にP-VINEから発売された10枚組ボックス・セットの中に含まれたもので、紙ジャケット仕様で復刻されています。

◎『Super Live Session』(東芝EMI TOCT-25203/2003年)
 2003年9月29日に東芝EMIの"必聴名盤シリーズ"という復刻盤シリーズによる再発盤。デジタル・リマスター、紙ジャケット仕様で、帯以外はアナ ログ盤のデザインをライナー・ノーツも含めて再現(ミニチュア化)されています。新規解説書付き。

『Super Live Session』(東芝EMI TOCT-25387/2004年)
 2004年6月30日に発売された再発盤。通常のプラ・ケース仕様、24bitリ マスター、解説書付き。

『Super Live Session』(Universal Music Japan UPCY-6923/2014年)
 2014年11月5日にリリースされた再発盤。通常のプラ・ケース仕様で、2014年最新リ マスター、盤はSHM-CDを採用。ちなみに2012年にEMI系列の権利がユニバーサルや ワーナー等に移行したため、今回からユニバーサルからのリリースになります。


[音源配信について/更新:2010 年11月19日]
この作品は以下のサイトでダウンロード購入ができます(※対応OS、ファイル形 式にご注意ください。また、サービス終了等によりリンク切れになっている場 合があります)。
MORA(モーラ) : http://mora.jp/package/80312032/0370006187634/
●OnGen : http://www.ongen.net/search_detail_album/album_id/al0000003430/
●Listen Japan : http://listen.jp/store/album_4988006187634.htm
●Amazon : スー パー・ライヴセッション(横浜ゼン)

1. Got My Mojo Working (作詞・作曲 : Preston Foster)

 まばらな拍手(テープ編集でループ再生したもの)の中、ファースト・アルバムにも入っていたこの曲からスタート。スタジオ版でのガレージ的な演奏から一転してジャジーな雰囲気になり、ミッキー吉野のオルガンがさらにその印象を強める。ヴォーカルはデイヴ平尾ケネス伊東。ちなみにステ レオの定位を説明すると、右がエ ディ藩のリード・ギター、中央がマモル・マヌーの ドラムとルイズルイス加部のベース、左がミッキー吉野のオルガン、ケネス伊東のギター

2. I'm So Glad (作詞・作曲 : Skip James)

 ブルース・シンガーのSkip Jamesの作品というより、一般的にはCreamのファースト・アルバム『Fresh Cream』(1966年)収録曲としてお馴染みの曲。ヴォーカルはエディ藩マモル・マヌ−で、Cream版とはまた違う迫力と重量感溢れるプレイが展開される。他にザ・ジャガーズ、アメリカのThe Litter等 もカヴァー。
3. 59th Street Bridge Song (Feelin' Groovy) (59番街の歌) (作詞・作曲 : Paul Simon)

 リード・ヴォーカルはデイヴ平尾、後半でのハモりはエディ藩。オリジナルはサイモンとガーファンクルが アルバム『Parsley Sage Rosemary & Thyme』(1966年)の中で発表した軽快な作品で、カップスはアル・クー パーマイク・ブルームフィー ルド『フィルモアの奇蹟』(1968年)で大胆にアレンジされたヴァージョンを基にカヴァー。ほぼコピーに近いものの、プレイの熱量はカップス版が遥かに上。この曲はアメリカではソフト・ロック系グループ、Harpers Bizarre「フィーリン・グルー ヴィー」というタイトルでヒットさせているほか、The Free Design(1967年)、日本ではPizzicato Five(1985年)等、人気曲とあってカヴァーも多く、ザ・ダイナマイツはカップス同様『フィルモアの奇蹟』経由でカヴァー(1969年/ライヴ盤に収録)。
4. One More Heartache (作詞・作曲 : William "Smokey" Robinson / Warren Moore / Ronald White / Robert Rogers / Marvin Traplin)

 タムラ/モータウン・レーベルの代表的なシンガー、Marvin Gayeが1966年に発表した曲で、カップス版はPaul Butterfield Blues Bandのアルバム『The Resurrection of Pigboy Crabshaw』(1967年)経由でのカヴァー。ヴォーカルはデイヴ平尾。
5. Season Of The Witch (魔女の季節) (作詞・作曲 : Donovan Leitch)

 イギリスのシンガーソングライター、Donovanアルバム『Sunshine Superman』(1966年)収録曲で、カップスはAl Kooper『Super Session』(1968年)経由でのカヴァー。ヴォーカルはエディ藩

6. Gloria (作詞・作曲 : Van Morrison)

 オリジナルはVan Morrison率いるThemが1965年に発表した作品で、他にアメリカのThe Shadows Of Knightパティ・スミスギター・ウルフNo Stars Innovation(元The Roosters池畑潤二在籍)等、数多くのカヴァーが存 在する名曲。元々R&B調のビート・ナンバーでしたが、カップス版はテンポを緩め、10分近くサイケ&ルーズな演奏を繰り広げています。リード・ヴォーカルはケネス伊東。
7. Born Under A Bad Sign (悪い星の下に) (作詞・作曲 : Booker T. Jones / William Bell)

 Albert Kingが1967年に発表したブルース・ナンバーで、一般的にはCreamの『クリームの素晴 らしき世界』(1968年)で知られている曲ですが、カップス版はPaul Butterfield Blues Bandのアルバム『The Resurrection of Pigboy Crabshaw』(1967年)経由でのカヴァー。ヴォーカルはデイヴ平尾。
8. Man's Temptation (作詞・作曲 : Curtis Mayfield)

 オリジナルはThe Impressions("I'm So Proud""People Get Ready"等で知られる60年代のR&Bグループ)が1966年に発表した曲で、Al Kooper『Super Session』(1968年)経由でのカヴァー。ヴォーカルはデイヴ平尾。曲調から察すると、この後シングルとして発表する「蝶は飛ばない」はこの曲をイメージして書かれたのではないかと…(推測)。

9. Zen Blues (ゼンのブルース) (作詞・作曲 : The Golden Cups)

 ラストはライヴ会場の名前にちなんだ、10分にわたって演奏されるオリジナルのブルース・ナンバー。リード・ヴォーカルはケネス伊東。ここでゲストにパワー・ハウス陳信輝(g)と柳譲治(b)が登 場し、遠慮無しに弾きまくっています。
文章作成 :1998年夏 / 更新 : 2000年10月21日,2010年11月19日,2014年11月11日
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